これまで「譲渡所得」について色々紹介してきましたが、

もし個人が2004年1月1日から2015年12月31日までの間に、居住用財産を譲渡し、買換え資産を購入した場合、一定の条件を満足すれば、下記の特例を適用することができます。
（1） 居住用財産を譲渡して損失した金額は他の所得と損益通算できる特例（各種所得を計算する際に得た損失は、他の所得金額から控除することができます）
（2） 譲渡年の翌年から３年間の所得金額合計を計算する際に、一定の方法で繰越控除する特例
適用条件は下記の通りです。
まず、譲渡資産ですが、
（1） 当該資産は当事者の居住に供していること。もしくは居住に供していない日から3年が過ぎた年の12月31日までの間に譲渡すること。
（2） 所有期間が5年を超えていること。
（3） 配偶者や直系親族、生計を一にする親族に譲渡していないこと。
また、買換資産ですが、
（1） 一棟（区分の場合は専有部分）の床面積のうち、当事者の居住に供している床面積が50㎡以上であること。
（2） 「譲渡資産」の譲渡年の翌年の12月31日までに取得すること。
（3） 贈与又は金銭債務を償還することで取得したわけではないこと。
（4） 繰越控除を適用して、毎年年末に買換え資産を取得したことによる住宅借入金があること。
その他の要件は以下のようです。
（1） 譲渡年、その前年、前々年に「3,000万円控除」、「居住用財産軽減税率」を適用していないこと。
（2） その年の所得が3,000万円を超えていないこと。

ご存知ですか？
ローンを組んで物件を買ったら、所得税から一部控除できます。

日本の所得税法には「住宅ローン控除」があり、返済期間が10年以上の住宅ローンで住宅を購入し、もしくは新築又は改築した場合、一定の条件を満足すれば、居住年からの一定期間内では、毎年の所得税額からローンの年末残高に基づいて計算された金額を控除することができます。

2014年4月〜2019年6月の間に居住し始めた人はその日から10年間において、下記の控除内容を適用することができます。
1. 借入金の年末残金限度額→4,000円
2. 控除率→1.0％
3. 毎年の控除限度額→40万円
4. 最大控除額→400万円

「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅」の場合、下記の内容が適用されます。
1. 借入金等の年末残金限度額→5,000円
2. 控除率→1.0％
3. 毎年の控除限度額→50万円
4. 最大控除額→500万円

「認定長期優良住宅」とは、
1. 長期にわたり、使用できる構造と設備
2. 居住環境を考えていること
3. ある程度以上の住宅面積を擁すること
4. 修繕維持の期間及び方法を決めていること

以上の条件を満足すれば、管轄の行政機関に認定を申請することができ、「認定長期優良住宅」として認定されることもあります。

どのような住宅は上述の控除を適用できるのでしょうか？
まず、床面積が50㎡以上で、中古の場合、20年以内に建てられたものか（耐火建築物の場合、25年以内）、もしくは耐震基準を満足しているものです。個人に対する条件は所得が3,000万円以下のことです。

「居住用財産を買換えた際の譲渡損失損益通算」、「繰越控除制度」と併用することができます。但し、「住宅特定立て替え特別税額控除及び認定住宅新築等特別税額控除」から選ばないといけないです。

①譲渡居住用財産の軽減税率

個人が居住用財産を譲渡し、3,000万円特別控除が適用される際に、居住用財産の所有期間がその年の1月1日までに10年を超える場合、譲渡居住用財産の軽減税率の特例が適用されます。また、もし5,000万円特別控除を適用した場合でも、条件を満足すれば、譲渡居住用財産の軽減税率を適用できます。

②優良住宅地の軽減税率

国家・地方公共団体や独立行政法人都市再生機構等が住宅を建設するとして5年を超える土地を譲渡した場合、税率が軽減されることがあります。

「特定買換え特例」とは個人が一定期間内において居住用財産（譲渡資産）を他の特定の居住用財産（買換資産）に買換えた際に、「譲渡資産」を譲渡したことでもらった収入金額が「買換資産」の取得金額より低い場合、当該「譲渡資産」の譲渡は譲渡と見なされず、高い場合、超過額に対して課税されることになります。

条件は下記の通りです。
1. 譲渡資産
（1） 個人が居住している家屋、又は居住用として使われていない日から3年目の12月31日まで譲渡された家屋
（2） 居住期間10年以上
（3） 所有期間10年
（4） 配偶者や直系親族、生計を一にする親族に譲渡したわけではないこと
（5） 譲渡金額は2億円以下

2. 買換資産
（1） 居住に供する面積が50㎡以上
（2） 家屋の敷地面積が500㎡以下
（3） 譲渡年の前の年の1月1日から翌年12月31日まで取得した資産
（4） 取得日から譲渡年の翌年12月31日までの間、当該個人が居住する予定
（5） 新築使用されたことのある防火建築物の場合、取得日から25年以内で建築された建物でなければならない（一定の耐震基準を満足している場合、建築年数が25年を超えてもいい）

3. その他
その年、その年の前年、前々年において、3,000万円控除や居住用財産の軽減税率が適用されていないこと